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高森明勅
2017.11.26 22:00

事実と儀礼

今上陛下のご譲位と皇太子殿下のご即位。

この両者は「間髪を入れず」「即座に」「同瞬間」になされる。

だから、それぞれ“別の日”という事は、
憲法=皇室典範=特例法上、
あり得ない。

にも拘らず、政府のプランとして、
ご譲位の“翌日”にご即位という報道が、なされ続けている。

これは不可解。

ひょっとして、ご譲位に関わる儀礼(退位式?)
とご即位に関わる儀礼(剣璽等承継の儀など)が行われるのを、
別の日」にしようとしているのか。

そうであれば、その当否は一先ず別にして、一応あり得る。

しかし、誤解してはならないのは、
ご譲位もご即位も、何らかの儀礼に“
よって”、
初めて実現するのでは“ない”、という事。

そうではなくて、天皇が皇位を退かれたという
「事実」
が先ずあって、その事実を表示する「儀礼」が、
それに“伴う”。

新しく皇嗣が皇位に即(つ)かれたという事実があって、
それを表示する儀礼が伴う。

儀礼はあくまでも事実に伴うものだ。

その事実と儀礼の関係を、
あたかも退位式によってご譲位が実現し、
剣璽等承継の儀などによってご即位がなされるかのように、
転倒させて理解してはならない。

その上で言えば、両者の儀礼も、
やはり時間を隔てないで、同じ日に行うのが当然だろう。

先帝崩御後、時間を空けないで
(今上陛下の場合は約3時間半後)
剣璽等承継の儀などが行われて来たのと同様に。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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